定年後の世界 2021 3 21
書名 「定年後」のつくり方
著者 得丸 英司 廣済堂新書
著者によると、昭和時代の定年後と、
令和時代の定年後は違うという。
昭和の時代は、会社を60歳で定年退職すると、
のんびりと余生を過ごすというイメージでしたが、
「人生100年時代」と言われるようになった令和の時代は、
60歳は、人生の中間地点かもしれません。
これでは、たとえ定年を65歳まで延長しても、
何の解決にもならないと言えます。
近年、少子化の進行によって、
深刻な労働力不足が指摘されるようになっています。
だからこそ、移民や外国人労働力の導入が必要だと言われますが、
そういう議論の前に、考えるべきことがあると思います。
さて、コロナ禍で、全く話題にならなかったかもしれませんが、
2020年3月に成立した「改正高年齢者雇用安定法」が注目されます。
この改正法が施行されるのは、2021年4月1日です。
著者は、「70歳までの活躍の場の確保の法律」と呼んでいますが、
簡単に言えば、70歳までの雇用・定年延長、
あるいは就業・起業支援への努力義務を企業に求めるものだという。
私は、この法律の「起業支援への努力義務」に注目しました。
たとえ定年を70歳まで延長しても、
人生100年時代を考えると、何の解決にもならないからです。
個人事業主には、定年はありません。
普通は、起業・創業には、困難を伴いますが、
今まで勤めていた会社から仕事がもらえるならば、
起業・創業の困難も減少されるでしょう。
これも「多様な働き方」の一歩になると言えます。
もちろん、コロナ禍によって、
改正高年齢者雇用安定法への準備は、
政府も会社も対応が遅れているかと思いますが、
人生100年時代へ向けて「静かなスタート」がよいでしょう。
遠くへ旅するならば、静かに出発せよ。
みんなに言ってしまうと、「大丈夫か」と心配されて、
旅行の決意が鈍るでしょう。